幽霊の思い出話

「はいっ」

 何人もの声が一斉に発されたあと、芹沢さんの「解散」という言葉で各々が戻っていった。

「今夜は寝れそうにないな」

 新八は目をこすりながら、眉を顰めていた。

「そうだな」

「あれ?何かきつそうだね」

 平助が新八を覗き込みながら言った。

「あぁ、こいつ昨日飲みすぎてな。大方酒が抜けてないんだろうよ」

 少し意地悪く言うと、新八は眉を八の字に下げた。

「しばらく酒はいらねぇー」

「そういってすぐに飲むじゃん」

「新八は加減てもんを知らなすぎだよな」

 うんうんと平助は頷いていた。

「酒といえばさ、さっき見た?」

「ん?何をだ?」

 平助は何か言いたげに俺の肩に手をかけた。
< 164 / 279 >

この作品をシェア

pagetop