幽霊の思い出話
その晩、寝ずに待機をしていた俺たちに早朝、出動命令が出た。そして、すぐさま御所の警護へと向かった。
「陽が出ていないから暗くて目が利かないな」
「あぁ、見にくくて敵わないな」
「御所は大丈夫かな?」
平助は少し心配そうに話していた。
「何かあってもどうにかするのが俺たちだろう」
「うん、そうだね」
昼間の新八と違ってやる気満々の様子だった。こうやって何かに取り組む時はいつも真剣というか自信に満ち溢れている。こいつのそんなところが好きだ。
しばらく歩き御所の南門へと到着した。
「壬生浪士組只今馳せ参じた。我々はどこの警護をすれば良いだろうか」
近藤さんが南門を警護していた会津藩の人間にそう問いかけた。
「壬生浪士組?そんな話は聞いておらぬ」
予想していなかった返事にあたりが凍りついた。
「なっ、我々は確かに命を頂戴し、馳せ参じたのだ」
慌てて近藤さんは門番に食いつくも、門番は首を横に振った。