幽霊の思い出話

「害?さぁ、知らないけど」

「知らない?今まで憑いてたのに?」

 驚きと不安のあまり、声が大きくなる。

「そりゃ憑いてたけど、さっきも言ったように、憑いてたのは犬や猫の類なわけで、人間は初めてなんだ」

「じゃあ、分からないってこと?」

「まぁ、でも今憑いて何もなかったってことは大丈夫だろうよ」

「・・・そうだ、ね」

 彼は私を納得させるのが妙に上手い。

「おまえに不満が出てくるならば、二十四時間俺が傍にいるってことだな」

「・・・考えただけ憂鬱になってきた」

 あぁ、やっぱり無理かもしれない。
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