幽霊の思い出話

「間違いねぇ、藩内では近藤さんの評判はいいらしいですけど、組内ではあぁやって芹沢さんが仕切っているようになっている。だから組内の支持は芹沢さんの方が高いかもしれない。そんなことあっちゃいけねぇ」

「同感です」

 総司も俺の言葉に頷いていた。

「このままじゃ、近藤さんは上に上がれない」

「仮に上がれたとしても、きっと今みたいなことになるでしょう」

「・・・あんな奴に阻まれてはいけないな」

 先ほどの芹沢さんを見ると、やっぱりあの人の存在感は大きい。元々が違いすぎる。きっとこのままだと芹沢派の連中に、この壬生浪士組は乗っ取られてしまうだろう。

 酒を飲んだくれ、乱暴者と呼ばれるこの人が、壬生浪士組を取り仕切っていいはずがない。絶対に。
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