幽霊の思い出話
戦うことに真っ直ぐな平助はいい腕を奮う。だからその腕を信用していない訳ではないが、まだ若い、死に急ぐようなことだけはしてほしくない。
「なに?」
ぼぅっと考えながら平助を見ていると、不思議そうな顔でこっちを見た。
「いや、暇だな」
「そうだね」
「じゃあ、稽古でもするか?」
悪戯に笑いながら言うと、平助は苦笑いをした。
「左之さん、勘弁してよ」
「悪い悪い、俺も今はしたくねぇよ」
でもいつでも動くことが出来るよう、少し体を動かす方がいいのは事実。俺は立ち上がり伸びをした。
「ちょっと向こう行ってくる」
肩に立てかけていた槍を持ち、少し離れたところに居た土方さんの元に向かった。