幽霊の思い出話

 近寄った瞬間、土方さんが誰と話しているのが分かった。

「お疲れ様です」

「あぁ」

 土方さんは本当に疲れている様子だった。

「原田君、お疲れ様」

「井上さん、お疲れ様です」

「じゃあ、私は向こうに行ってるよ。何かあったらすぐに呼んでくれ」

 そう言って井上さんは離れていった。

「どうした?」

 疲れた声で土方さんが声を掛けてきた。

「いえ、何か進展はありました?」

「いや、今は何とも・・・。でも、さっきの芹沢さんの声は通達されているはずだ。そろそろ何か動きがあってもおかしくはねぇんだが」

「土方さん、ちょっと向こうで休んだらどうですか?体調が悪そうですよ」

「いや、大丈夫だ。近藤さんが動き回ってるんだ。俺も動くさ」
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