幽霊の思い出話
この人には余裕がある。そして、周りに有無を言わさない威圧感がある。だから芹沢派の人間は愚痴もこぼさず、芹沢さんに黙って従っていた。
どっちの仲間がいいんだろうな。
ふとそんなことを思った。
「左之、俺たちはあっちの方に行こう」
新八と共に、芹沢派から少し離れるように移動した。
あたりはすっかり明るくなっていた。もうすぐしたら暑さが出てくる。
そう思うと少し嫌気が差した。でも愚痴ってばかりいられない。近藤さんがやる気なんだ。俺たちが協力しなくてはいけない。
自分を奮い立たせるように言い聞かせた。
直に終わる。終わらない戦いなどない。
いつか誰かに聞いた言葉を脳内で再生していた。