幽霊の思い出話

 頭上で太陽が燦々と照らし始めた頃、さすがに皆疲れを見せはじめた。

 なんとか神経を研ぎ澄ませようとするが、こうも暑いと脳が働かない。

 辺りを見回す。近藤さんは皆を心配し、声を掛けて励ましている。

「近藤さん大丈夫なのか?疲れてるだろうに」

 新八が俺の視線を悟ったように言った。

「あぁ、立っているだけで体力を消耗するというのに、動き回ってるんだ。相当きついだろうよ」

「いつまでこのままここに居なくちゃいけないんだろうな」

 新八が小さく溜息をつきながら呟いた。

「こんなこと言うべきではないんだろうけど」

 自分の放った言葉に被せるように、新八は言った。

 目立った騒動もなく、手持ち無沙汰の俺たちはつい愚痴をこぼした。
< 179 / 279 >

この作品をシェア

pagetop