幽霊の思い出話
「何かの役に立ちたいだけなのにな」
「あぁ」
汗を拭う。頬を伝う汗が鬱陶しく感じる。
少しして、先程の会津藩の男がお供を引き連れて、再び現れた。
「壬生浪士組の者たちよ、何人か私について来てくれ」
そう言われて、俺と新八は傍に駆け寄った。三分の一ほどの人数が集まった。
「では行こう」
集まったのを確認したあと、歩み始めた。
「あの、どちらへ?」
近藤さんが問いかけた。
「御所の近くだ。まだ、完全に制圧しきれず長州藩が残っている。念のため、配置しておくに越したことはなかろう?任せたぞ」
「はっ」
御所の近くと聞いて、士気が上がった。疲れなんか吹き飛ばしたかのように。
「なんだか急に元気になるね」
平助が苦笑いしながら言った。
「お前はならないのか?」
少しからかうように、新八は問いかけた。