幽霊の思い出話

「何かの役に立ちたいだけなのにな」

「あぁ」

 汗を拭う。頬を伝う汗が鬱陶しく感じる。

 少しして、先程の会津藩の男がお供を引き連れて、再び現れた。

「壬生浪士組の者たちよ、何人か私について来てくれ」

 そう言われて、俺と新八は傍に駆け寄った。三分の一ほどの人数が集まった。

「では行こう」

 集まったのを確認したあと、歩み始めた。

「あの、どちらへ?」

 近藤さんが問いかけた。

「御所の近くだ。まだ、完全に制圧しきれず長州藩が残っている。念のため、配置しておくに越したことはなかろう?任せたぞ」

「はっ」

 御所の近くと聞いて、士気が上がった。疲れなんか吹き飛ばしたかのように。

「なんだか急に元気になるね」

 平助が苦笑いしながら言った。

「お前はならないのか?」

 少しからかうように、新八は問いかけた。
< 180 / 279 >

この作品をシェア

pagetop