幽霊の思い出話

 それから少しした頃、芹沢さんと近藤さんが会津藩に呼び出された。

「あれ?近藤さんは?」

「平助、何か用事か?芹沢さんと出かけてるけど」

「いや、用事ってほどじゃないからいいんだけど。出かけたって何かあったの?」

 平助は少し驚いたような顔をしていた。

「この前の働きについて話があるとかなんとか」

「ふーん、そっか」

 畳に寝転がっていた体を起こし、思いっきり伸びをした。

「そろそろ帰ってくるんじゃないか?稽古しながら待っていようぜ」

「えーっ、左之さん手加減してくれないからな」

 立ち上がり、平助の頭をくしゃくしゃとした。鬱陶しそうに平助は俺の手を払う。

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