幽霊の思い出話

事件


 新撰組の名を名乗るようになってから、あっという間に半月が過ぎた。

 芹沢さんが段取りしただんだら模様の羽織に少し慣れた。少し派手すぎて、正直あまり着たくはない。着ていない者がほとんどだ。

 むしむしと暑さが続き、まだまだ涼しくはなりそうにない八月の末。虫の鳴き声と、太陽の照りつけに少し苛立っていた。

 そんな時に、斎藤さんがやってきた。

「集まって欲しいと、土方さんが言っている」

 同じく斎藤さんも暑さに耐えられない、という顔をしていた。

「どうしたんだ?」

「さぁ。監査役の報告に何かあったみたいだが、よくは知らない」

「そうか」

「あ、芹沢さんたちにはくれぐれも悟られないようにとのことだ」

 そういうことは早めに、先に言ってくれ。思わず心の中で呟いた。

「わかった、行こう」

 斎藤さんと共に皆が集まる場所に頬を伝う汗を拭いながら向かった。
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