幽霊の思い出話

「来たか、そのへんに座ってくれ」

 障子を開けると、近藤さんが迎えてくれた。

 土方さんや総司、見慣れた面々がそこに座っていた。

「では、監査役から入った報告を言う」

 土方さんが話を進めた。

「数日前、近藤さんが会津藩に呼ばれ出向かったところ、芹沢派の何者かが局中法度を犯していると情報が入っていると話されたそうだ。極秘に監査役に調査させたところ、新見が金策を行っているようだ」

「なっ、新見さんが」

 新八が驚いていた。意気揚々と局長を名乗った奴が早々に問題を起こすなんて・・・。

「隊務を怠り、島原に出入り、新撰組の名を使い恐喝まがい。これはもう見逃すわけにはいかないだろう」

「松平さんは何て?」

 山南さんが問いかけると、近藤さんが答えた。

「穏便に済ますようにと」

 つまり、処分しろ・・・、ということか。
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