幽霊の思い出話

 その後、どこでどう処分するかを決めたあと、俺と平助は部屋を出た。

「何か憂鬱だね」

「ん?」

「殺すことに躊躇いがあるわけじゃないけどさ、やっぱり一緒に過ごしてたって人になるとなーんかさ」

 平助は腕組みをしながら、廊下をゆっくりと歩き始めた。俺は後ろをついて歩きながら、平助の話に耳を傾けた。

「魁先生が何を言ってるんだよ」

「左之さんそればっかり。俺別に人斬りじゃないからね」

「わかってるよ」

「でも、裏切り者は処分しなくちゃ」

「・・・あぁ」

 俺たちは別に人斬りでも、虐殺者でもない。ただ俺たちは俺たちの誠を信じて、人を殺める。この新撰組を信じて、近藤さんについていくしかない。
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