幽霊の思い出話
「芹沢さん、芹沢さん」
声を掛けると芹沢さんは寝入っているようで、目を開けなかった。眉を少し潜まし、また寝息を立てた。
「こんな無防備な芹沢さん見たの初めて」
「俺もだ」
芹沢さんの脇には何本ものとっくりや酒瓶が転がっていた。
少しは感傷に浸っているのだろうか・・・。ずっと共にしていた仲間が新撰組に逆らう行為をとっていた。裏切っていたともいえる行為。
芹沢さんは一体何を思ってるんだろう。
「芹沢さん、大丈夫ですか?」
少し間を取って、今度は平助が声を掛けた。
「・・・ん。あぁ、おまえたちか。何の用だ」
目を擦りながら、体を柱から離した。
「あ、いや、その」
飲み過ぎてないか様子を見に来たなんて言えない。