幽霊の思い出話

「・・・新見の処分が決まったか」

 口角をあげて笑う芹沢さんの顔は、苦痛に満ちていた。

「・・・はい」

「そうか。潔く終わらせてやってくれ」

「はい」

 再び柱に背を預ける芹沢さん。

「用件は以上か?それならば下がれ。もう寝る」

「でも、ここでは」

 平助の言葉を阻止するように、腕を伸ばした。

「分かりました。風邪を引かぬようにして下さい。失礼します。平助行こう」

「う、うん。芹沢さん失礼します」

 頭を下げ、部屋を出た。

「左之さん、良かったの?ちゃんと部屋の中に戻ってもらわなくても」

「今日くらい、いいさ」

 あの人は新見さんを、仲間だと感じていたんだ、きっと。そうじゃなければ、あんなに苦痛に満ちた顔しない。
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