幽霊の思い出話

 それから数日後の九月上旬。まだまだ暑さの残る日。予定通り、新見さんの処分を決行することになった。

「土方さん、新見さんは例の場所に?」

「あぁ、いつものように居るようだ」

 例の場所とは祇園の貸し座敷、山緒というところだ。新見さんが偽名を使ってよく出入りしていると、監察方から情報が入っている。

「そろそろ行きますか」

 腰に刀を差しながら、山南さんは散歩に出掛けるかのように言った。

「あぁ、行こう」

「近藤さんあとは任せました」

「皆任せたからな。用心して行ってきてくれ」

「はっ」

 どっしりと構えたように、近藤さんは俺たちの背中を押してくれた。この人の中で何かが決まったのかもしれない。

 この人のためにも、俺たちが頑張らなくては。
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