幽霊の思い出話
何本もある酒瓶に、女たちの残り香。お座敷特有の匂いがした。
「わた、しが・・・、私が何かをしたという証拠でもあるのか?」
明らかに動揺しているのが分かる。指先は奮え、瞳孔は開いていて、とてもじゃないが通常と変わらないとは言えない。
「証拠ですか?いいですよ。少し待っていてください」
「総司、新八」
「はっ」
二人がバタバタと部屋の外へと出て行った。少しして、足音が増えて戻ってきた。
「連れてきました」
そう言った新八の近くには、ここの店主が一緒だった。
「て、店主?」
「そう、ここの店主です。何度も会っているでしょうからわかるでしょう?」
「・・・あぁ」
新見さんはじっとこちらの様子を見ていた。