幽霊の思い出話

「・・・ふんっ。きっと誰かと間違えているんだろう」

「そうですか。ところで話は変わりますが新見さん、少し前に松平さんに呼び出され出向いたところ、どうやらこの新撰組の名を語って金銭を強要している輩が出ているようなんですよ」

 新見さんの顔はさーっと青ざめたように見えた。

「見つけたら新見さん、あなたならどうします?」

「・・・松平さんの命に従うまでだ」

「そうですか」

 少し間があき、山南さんは土方さんの方を見た。

「新見さん、松平さんは処分するようにと言っていたんだが」

「そうですか。それで?」

「自分でするか?それとも手を貸そうか?」

 刀に手をかけ、土方さんは少し低い声で威嚇するように新見さんを見据えた。

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