幽霊の思い出話

「なっ、何で私が?」

「まだシラを切るのか?」

 新見さんはしきりに首を横に振った。

「私は、何も、何もしていない。ただ、組のことを・・・、芹沢さんを思って」

 ゆっくりと後ろに下がっていく新見さんを、ジリジリと追い込むように、少しずつ前に出た。

「あんたもしつこいな」

 新八が口走った言葉に、新見さんは睨みつけた。

「やっていないと言っているだろう」

 怒鳴りつけるように、新見さんは反論した。

「そうか、総司頼む」

「はーい。あっ、もう出ていいですよ」

 そう言って店の店主を外に追い出し、別の男を中に入れ込んだ。その瞬間新見さんは目を見開いた。

「その顔は見覚えがあるって顔だな」

 土方さんはにやっと笑った。

< 205 / 279 >

この作品をシェア

pagetop