幽霊の思い出話
龍源寺
「それで新見さんは?」
黙った左之に問いかけると、左之は苦々しい顔をした。
「死んだよ。自身の手で、きちんと終わらせた」
「・・・そう」
左之の生きていた時代でなら、切腹なんて当たり前のように起きていたんだろう。この時代にはありえないことだから、どんなものか想像がつかない。でも、目の前で人が死ぬなんて、出来れば見たくはない。
「何なんだろうな。結局俺には、新見さんが何をしたかったのか分からなかった」
「んー、欲に目がくらんだんじゃないかな」
「欲?」
「新撰組の名を使って、名を広げれれば隊士は募集できるし、後ろ盾がある分、新撰組に居るから怖いものはないと思ったんじゃない?金銭をとって自分が強い立場に居るっていうのを実感したかったのかもしれないけれど」
「・・・それもあるのかもしれないな」
左之は何かに納得したかのように頷いていた。