幽霊の思い出話
「新見さんて人がどんな人だったのか、私は分からないけど、芹沢さんにこき使われていたんでしょう?それでも傍にいたってことは、少なからずこの人についていきたいって気持ちがあったんじゃないかな。だけど、いつまで経っても芹沢さんに追いつけない自分が情けなかったのかもしれないよね」
なんとなくだけれど、左之の話を聞いてそんな風に自己解釈した。
「ほぉ・・・。真沙美は読み取るのが得意なのか?」
「違うよ、そうじゃない。ただなんとなくそう思っただけ。下にいる人間は少なからず上に上がりたいっていう欲があるじゃない?だからそう思っただけ」
そう答えると、左之は少し驚いた顔をしていた。
「どうしたの?」
「そういえば。そんな風に思ったことがあったなぁと思ってさ」
「左之も?」
「あぁ。伊予に居た時、こんな奴の下にいれるかーって、切れ切れって何度も思った」
思い出したのかクスクスと笑いながら、左之は口元に手を当て、実際切れ切れ言ってたしな、と言った。