幽霊の思い出話

「ねぇ、左之。人が目の前で死ぬってどんな気持ち?」

 ふと疑問に思ったことを尋ねてみた。

「・・・そうだな。当時は当たり前のことだったから・・・。でも、いい気はしないさ。後片付けを、事務的にして、何事もなかったようにする。それが普通だった」

「怖い時代ね」

 そう言うと、左之は黙って頷いた。

「今より人の命が軽く扱われていた時代だからな。でも、必死に皆生きていた」

 必死に生きていた。その言葉が少し重たく感じ、私はハンドルをギュッと握り締めた。

 今の世のように、簡単に自分からこの世界に落胆し、死を求める人なんてほとんど居なかっただろう。きっと生きたくても生きられなかった時代のはず。

「左之はどうして死んだの?」

「ん?それはまたおいおい話すさ」

 そう言うと、左之は空を見上げていた。


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