幽霊の思い出話

 そしてニヤッと笑った。

「楽しみだね、左之」

「あぁ。本当にな。気になってきた」

「私も」

 そう言って車のエンジンをかけた。

「ここから遠いか?」

「うーん、そうだね。東京から京都だもん6時間くらいかかると思う」

「江戸から京か。これも何かの縁かもな」

 ふふっと左之の呟いた。

「それなら、やっぱり今日はどこかで休んだほうがいい。このままじゃ夜中通り越して朝方になりかねないからな」

「じゃあ、お言葉に甘えて」

 携帯で今から泊まれれるホテルを探し予約した。

「左之、本当に近藤さんはもういいの?別のところに居るかもしれないよ?」

「いいさ。縁があったら会えるだろうよ。真沙美に会えたみたいに気長に待つさ」

「そう」

 車をゆっくりとホテルに向かって走らせた。

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