幽霊の思い出話
平和な日常
「左之はさ、もしこの現代に生きていたら何をしてみたかった?」
沈黙に耐えられず、なんとなく質問をしてみた。ちょうど信号は赤に切り替わった。
「どうしたんだ?突然」
少し驚いている顔をしていた。
「んー、なんとなく」
「ふーん。そうだなぁ、こんな平和なところに居たら、本当にやりたいことなんて見つからないかもな」
「え?」
「俺は、生きていたあの時代でさえ、途中で何を目的にしていたか、わからなくなったんだ。そんな奴がこの時代で何かやりたいことなんて見つけれないだろうよ」
ハハっと左之は笑ったけれど、私は笑えなかった。
この人の最後は一体どんなのだったの?とそんな疑問が頭を掠めた。