幽霊の思い出話

「愛華が寂しがってる」

「ふふっ。こんなに早く?全く何言ってるんだか」

「・・・戻るんだろう?」

「えっ?」

 神木さんは少し声のトーンを落として言った。

「戻るよな?」

「・・・うん。当たり前じゃない」

「そうだよな」

「えぇ」

「急に悪かったな。また連絡する」

「・・・はい」

 そう言って電話を切った。

「・・・ふぅ」

「どうした?ため息なんかついて」

 左之が顔を覗いてきた。

「ん?何もないよ」

 無意識のうちに出たため息だった。

「今日はゆっくり休めよ。ずっと運転ばっかりだったんだから」

「うん、そのつもり。明日も走らなくちゃいけないしね」

「頼もしいかぎりだけど、無理だけはするなよ」

「はいはい。わかってますよ」
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