幽霊の思い出話
ベッドに横になり、天井をぼんやりと見つめた。
家とは違う天井。旅行には慣れているから家じゃないからといって落ち着かないということはない。でも、誰かと一緒に行く旅行なんて滅多にないから、こうやって話しながらいるなんて不思議な気分だった。
生身の人間ではないけれど。
「真沙美?風呂入ってから寝ろよ」
「うん。・・・覗く気?」
「・・・え?」
「その間は何?」
バレたかとハハッと笑いながら、出窓のところに腰をかけた。
「もうっ。左之は前科があるから信用出来ない」
「嘘嘘。行かないって。覗かないから安心して入ってきな。ゆっくりしな」
「うん」
こんな風に冗談を言い合って落ち着ける空間が心地良く感じていた。