幽霊の思い出話
「何も考えていないだろうけど、気にしてないわけではないだろうな」
新八は、俺の心を読んだかのように言った。
「あぁ。やり返す気はないにしても、何か思うことはあるだろうな」
「・・・あの人、酒の量が増えている」
新八はそう言った。
「気にしていたのか」
「いやでも分かるさ。残された人間ってのはきついもんだしな」
何かで気を紛らわしたくなるもんだろ?と新八は苦笑いしながら言った。
「悪い人ではないんだろうけどな」
「あぁ。ここの子供たちなんか懐いている。恐れられる人間のはずが懐かれているんだ。根はいい人なんだろうよ」
「そうだな。ただ、俺たちとは思想が違ったってことだろう」
新八は腕を組み、なんとも言えない表情だった。
「・・・そうだな」