幽霊の思い出話

 俺たちはきっと、これから先何度も迷い、これで良かったのかと戸惑うだろう。

 ふと空を見上げた。木々の合間を鳥たちが舞うように飛んでいった。

「行こう。まだやることがあるだろうから」

「あぁ、行こう」

 新八の背を追って、近藤さんのもとへと向かった。

「左之さん、新八さん」

 近藤さんの所に行くと総司が立っていた。

「どうした?」

「何もないよ。遊郭の手配を新八さんたちがしたって聞いたから、さすが仕事が早いねって話してただけ」

にやりとしながら、総司は言った。

「どういう意味だよ」

 新八は笑った。

「ははっ、分かってるくせに」

 総司も笑った。きっと俺たちがよく行くのを知っているから、こんなこと言うんだろう。
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