幽霊の思い出話
 総司は立ち上がって帰ろうとしている芹沢さんや土方さんの方に行き、「一緒に行きますよ」と声をかけていた。

 俺は酒を口に含んだ。失敗は許されない。逃げられて新撰組内部分裂とでもなったら、今度は俺たち近藤派が裏切り者とされてしまう。それだけは避けなければいけない。

 芹沢さんは、席を立ち、平間さんたちと座敷を出た。それについていくように、土方さんと総司も出た。

 一直線に屋敷に戻るだろう。

「他の奴らもそれぞれ戻り始めたな」

「あぁ、少し様子を見よう。八木邸付近をうろうろされても困るしな」

「俺たちが暗殺したとだけは、バレないようにしないとな」

 そう、これは暗殺したところで変死として扱う予定だ。
 
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