幽霊の思い出話
どれくらい経ったんだろう。雨の音だけが耳についた。いつまで降るんだろう。そんなことを考えている時、スーッと襖が開いた。
「待たせた」
土方さんが黒装束を身に纏い現れた。
「いけますか?」
総司が刀を握りしめた。
「あぁ、座敷に屏風を立て、区切ってある。北側に芹沢さんにお梅、南側に平山さんと女が寝ている。西側には平間さんと女だ。着替えたあと、こっそり見に戻ったが、すでに誰かいびきをかいて寝ていた。声もなかった」
「どう動きます?女はどうします?」
山南さんが土方さんに問いかけた。
「俺と総司は北側に、山南さんと原田は南側に、西側は永倉に任せる。永倉一人で良いか?」
「あぁ、かまいませんよ」
新八が頬被をするのを見て、俺も被った。
「女は顔を見られる可能性もある。目覚めれば切れ」
冷静な声だった。