幽霊の思い出話
 左之は何かを思い出したかのように、口を開けたまま静止した。

「えっ?なに?」

 驚いて、思わず布団から出て左之の近くに寄った。

「どうしたの?なに?」

「ま、真沙美。思い出した」

「うん?」

「俺たち芹沢さんと平山さんの葬儀したんだよ」

「え?あ、うん。そりゃ、するよね」

 自分たちが殺しておいて、自分たちで葬式をするなんて変な話だけど。

「その葬儀の場所、八木邸すぐの寺だったんだ」

「え?う、うん。・・・えっ?まさか」

「壬生寺なんだ」
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