幽霊の思い出話
 二人で顔を見合せ、少し時が止まったように口を開けていた。

「・・・ぷっ」

 お互い吹き出して、笑った。

「左之、もっと早く思い出してよ。思わず笑っちゃった」

「俺も笑ってしまった。悪い、悪い」

「左之も思い出したことだし、行き先としては間違ってないようだね」

「あぁ、間違いないな」

 笑いながら、左之は笑顔で頷いた。

「そうと決まれば、早く寝るね。明日の移動は六時間位あるから」

「ゆっくり休め。すまないな」

「ううん。おやすみなさい」

「おやすみ」

 左之は優しいトーンで眠りの挨拶をした。私はその声が居心地良く、布団を被り目を瞑った。
< 275 / 279 >

この作品をシェア

pagetop