幽霊の思い出話
お互い見つめ合った状態のまま、動かなかった。
そして少し間があいたあと、彼が口を開いた。
「おまえ、俺が見えているのか?」
低く透き通った声が耳に入る。
うまく言葉を発せず答えられないまま、ゆっくりと頷くと、彼は目を丸くして驚いた顔をした。
「本当か?俺の声が聞こえるのか?」
もう一度大きく頷いた。すると彼は口角をあげ、握りこぶしを作った。
「よっしゃーっ」
そう叫びながら、握りこぶしを高々とふり挙げた。その声にびっくりして、思わず肩を竦める。
一体この人は何?いや、この幽霊は誰?