幽霊の思い出話
頬に当たる夜風が気持ちいい。彼にはそれすらも今は感じることはないんだろう。そう思うと胸が苦しくなった。
「ねぇ、幽霊になったのは左之だけなの?」
「わからない。他の奴がいつ死んだかも、どこで死んだかもほとんど知らない。おまけに行動範囲が制限された俺には探す術がないんだ」
切なそうな声。
「会いたい?」
「まぁ、出来ることならな。あんな戦いばかりだった毎日とは違う今の世界で会ってみたいと思うよ。思い出話でもしながら酒飲んでな」
左之がそう望むなら叶えてあげたい。何故だろう・・・、ふとそう思った。