幽霊の思い出話

 更衣室に行き、荷物を取ったあとすぐさま更衣室を出た。

「おいっ、真沙美いいのか?おいってば」

 神木さんの部屋を出てからも、左之は引っ切りなしに話しかけてくる。

「仕事休む必要はないだろう?しかも無期限なんて」

 あるんだよ、左之。店内に居る間は返事の仕様がないから心の中で返事をした。

「ちょっと真沙美さん、どこ行くの?」

 店長と愛華が小走りで駆け寄ってきた。

「ごめんね。しばらく休業」

「は?何?どういうこと?」

「そんな詰め寄らないでよ、店長。オーナー承諾してくれたんだからね」
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