幽霊の思い出話

「えっ、そんな」

 そのまま店長は走って神木の居る部屋へと向かった。

「真沙美さん、帰ってくるんですよね?」

「神木が許してくれたらね。いつになるかはまだわからないけれど」

「待ってますから、絶対帰ってきてくださいよ。あの人が許さなかったら別れるって脅しますから」

 そういって愛華はとっておきの笑顔を見せてくれた。

「あはははっ。ありがとうね。じゃあ、面倒な奴がくる前に行ってくるね」

「いってらっしゃい、真沙美さん」

 にっこりと笑った愛華を見たあと、店を出てエレベーターに乗り込んだ。
< 85 / 279 >

この作品をシェア

pagetop