幽霊の思い出話
「左之が試衛館に出入りし始めてだいぶ経ったなぁ」
「そうですね。江戸に出てきてよかったです。こうやって縁があったんで」
「左之のような強い男は大歓迎だからな。はははっ」
豪快に笑う近藤さんを見て、つられて一緒に笑った。
「そういえば近藤さん、どこか出掛けてたんですか?」
近藤さんの住居は試衛館の敷地内にある。なのに背後から来るなんて少し驚いた。
「ちょいと野暮用でな、出ていたんだ。今日は重大発表があるんだ」
「重大発表?」
嬉しそうな近藤さんとは反対に首を傾げながら俺は試衛館の門をくぐった。