愛染夢路
勝てるきしないんだ―…という目で見ている。
私に自信なんてない。
というよりも先生は…家族を愛してる。
勝ち負けなんてない。
先生をゲームの景品にしたくない。だから―…
「別に、どーでもいいし。」
え?という目で早紀はこっちを見る。
「先生からどー思われようが私は先生のことが好きだし。消えることなんて嫌だね。」
トンっともたれかかったフェンスから体を起こして
「バイバイ」
と軽く手を振った。
「ちょっ…待っ…」
早紀はそれ以上先を言わなかった。
掴んでいた私の腕を握る手が緩んだ。
…言えなかったんだと思う。
わたしの視線があまりにも冷たすぎたのと
涙が一筋頬を伝っていたから。
恐いんだ。私も。本当のことを…知るなんて。
みんなのところに走って戻っていった。