愛染夢路


「痛ぇっ!」

私は後ろを振り返らなかった。




泣き出しそうな顔を誰にも見せたくなかったから。




―ドンッ―



誰かとぶつかった。




「いたたっ」




「大丈夫ですか?」




え?と顔を前を見た。島津…せんせぇ?





ぽろぽろと涙が溢れてきた。



「どうしましたか?」



言葉が出ない。先生、心配してるのに…。



「だ…って…ねぇ…」


先生は頭をぽんぽんと叩いた。






「こっち、座ろっか?」


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