愛染夢路


「し…ま…島津…せん…せえ!」




声を張り上げたけど誰も来ない。



愛たちは何をしてるのだろう?





「うるせえなぁ!何が島津だよ!!」


車の中に押し込められた。




必死で抵抗するけど…やっぱり大人だ。
抵抗してもビクともしなかった。



「お前…うざかったんだよね…僕の嫌いな島津のとこ毎日のように来てさ。

 汚したら…センセェのとこいけねぇよなぁ?」



口元が上につりあがった。




…でも目は笑っていない。

「イヤァ!」

バシッと平手打ちが顔にあたった。




「体罰を与えなきゃなぁ…悪い子には…」



―ピッ―



「!!!!」

声にならない叫び。



…頭の中が真っ白になった。



車の鍵がしまった。

もう…逃げられない…


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