会いたくて。
理事長室
コンコン。
ドアをたたく音。
どうぞ~と中から気のよさそうな老人の声がする。
「おぉ、レイナ君か、よくきたな、まぁ座りなさい。」
首を傾げているレイナと呼ばれた彼女に幸也が英語で通訳する。
「そう言えば佐々岡君、最近講義やレッスンをサボっているそうじゃないですか。何かあったのかね?」
「いえっ。何もありません。」
焦るわぁ。
「ならちゃんとして下さいね。君は我が校が誇るピアニストなのですから。」
「…はい。」