今宵、最後の一杯を…

 さらに驚く私を完全に置いてけぼりにして
追い討ちをかけるように

 「と言うわけで…喰わせてね…。」
耳元に少し低くかすれた声が響いた。

 獰猛と妖艶を表に浮かび上がらせてニッコリ微笑むマスターの
いつもと違うその魅力の中に引き込まれていく…。

 重ねられた薄い唇を従順に受け入れる

 このゾクリとした感覚…。

 
 タバコ彼のときに悪くないって思ったそれよりも強く

 …まったくもって、悪くないね…そう感じている…。

 
 そして…互いの欲を満たすため

 思考を手放し目の前の雄と

 

 …自分の意思で対峙することを選んだ……。
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