今宵、最後の一杯を…

 「最後の一杯…」と告げられて、先に求めるものが
なくなった今…どうにかなりそうなほど

その手が…それに続く腕が愛おしいもののように思えてきた…。

 「そんな…色っぽい顔で見つめないでくれよ…飲み終わるの待てなくなるから…。」

 頬にかかる長い髪に指を絡ませ、そっと持ち上げて後ろに流した。

 露になった首筋に寄せられた唇が、つっと上を目指し這いあがり…

 耳たぶを食む…

 熱を帯びた溜息とともに、耳に流し込まれた言葉と
 
 滑りこんだ舌の冷たさに

 ゾクッとした…欲情、野生、狂乱、快楽……。

 全て引き受けても惜しくないと思うほど

 その体に触れたい…壊れるくらい翻弄されてみたい…。
 
 
 「いろんなこと全部…塗り替えてよ…。」



 
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