今宵、最後の一杯を…

 しがみ付き乱れた呼吸を整えようと体勢を立て直すと

 首筋に唇が触れ、マスターがそこに歯を立て…
 
 刺すような鋭い痛みが走った。
 
 抗議しようと顔をあげるより早く、顎を掴まれて重ねられた唇に
飲み込まれていく言葉が、甘い溜息と吐息にすりかわり…

 さっきの痛みが幻のように、蕩けるような愛撫に包まれた。

 それは…愛されていると勘違いさせるほど…

 温かくやさしい動き…。


  
 
  
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