今宵、最後の一杯を…

 「おまえ…愛について語ってるけど、女を愛したことってあるのか?」

 「ないな…多分、女に対してのそういった部分は欠落してる…だから、余計に美保とはいれない…あいつは、なりは大人の女で色気もあるけど中身が純粋で綺麗過ぎるんだよ…俺の手には負えない女だ…でも、ギリギリまでは離さない…というより…離せない…。」

 その後も、嫌悪の表情を露にした友人は

 「別れてやれ!」と強く言っていた。

 
 色香が漂う甘い顔が、曖昧な表情を浮かべ口の端で薄く笑う…。

 
 このタイプの海千山千で妖艶な男に絡めとられたら

 逃げ出すのは難しい…。

 純粋であればあるほどに……。

 そして、こういう男は手の中にあるうちは

 白い部分を汚すことなくやさしく甘く囁きかけて…

 骨の髄まで全部喰らい尽くす…。 

 
 激しい怒りを覚え…自分の想いの深さに驚いた…。

 男の言う執着とは違う「熱」を孕んだ独占欲があふれ出した…。

 
 「手に入れる…。」それが俺の出した答え……。



 
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