今宵、最後の一杯を…

 予感的中…この美しい友人はかなりの女たらしで
憂いを帯びた顔つきで酒を煽る女を見落とすはずはなかった…。

非常に厄介だ…。

 スツールから立ち上がり、要は優雅な足取りで美保のもとに向った…。

 隣に腰掛けすっとタバコを差し出して

 ニッコリと微笑む。

 美保は、無言でタバコを見つめて少し考えていたようだが

 素直にそれを受け取り口にくわえる…

 確か、彼女はタバコは吸わないはず……。


 成り行きを見守りながら「ドラマとか、映画とかそんなシーンがありそうだな…」なんてこの時点では、まだほんの少しだけ余裕があった。

 
 聞き取れないほど、小さな声で交わされている会話が気になる……。

 
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