今宵、最後の一杯を…

 美保の目が「マスター本当にお腹いたいの?」という疑いの色を
滲ませて覗き込む…。

 自分の言動の怪しさを誤魔化すように「ブルームーン」を
君の前に置いた。

 たわいもない会話で煙に巻こうとしたのに

 綺麗な瞳が潤んで揺れているから…

 じっと見つめ返してくるから…側に行きたいと思った…。

 近づいて美保の横に腰掛け、お預けをくらった犬のように
少しだけ待ったけど、そのうつろに揺れる瞳に欲情の色が見えて

自分の中で我慢の糸がぷつりと切れた…

もう限界……躾けの悪い犬だから…待てなんて無理……。

 
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