今宵、最後の一杯を…

 「か…ずま……。」
 
 唇から囁くように漏れた男の名前と一緒に…

 一筋の涙が零れた…。

 左胸を走る激しい痛みに「ぐっ…。」と呻き声を吐いた。

 傷ついている君に、ひどくしてしまったこと

 弱り目に漬け込んだ自分のずるさに腹を立てながら

 やっと手に入れたと満足する心に自己嫌悪する。

 その体を包み込むように抱き上げ、いたわるように

 そっと階段をあがった…。

 美保をベットの上に横たえて、起きないように静かに服を脱がし
自分のパジャマのシャツを着せる。
 
 「ごめんな……。」少し冷たい頬を撫で…そう呟いた…。

 よくみると目の下にクマがあり

 それが寝不足と疲れをあらわしていた…。

 
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