今宵、最後の一杯を…

 部屋に戻ると、ベットの上で美保がちょこんと座っていた…。

 
 「起きたんだ…。」濡れた髪をタオルで拭きながら平静を装う。

 「うん……。」

 ベットに腰掛けて、君のほうへ体を傾けたら突然
両手でガシッとタオルを掴まれて、胸に顔を埋められた。

 「この香りって、ロクシタンのヴァーベナじゃない?」

 パジャマのズボンに上半身裸の俺は、その鼻先が胸触れるだけで
興奮する。

 「そ…そうだよ。姉さんのフランス土産…男にロクシタンはないんじゃないかって言ったんだけど、ボディーシャンプー使ってみたらかなり良い感じで爽やかな甘さも気に入ってね…。」

 「へーーっ。」ちょっと疑うような目をした君が

 「彼女いるのに、こういうことする男は嫌だよ…。」

 少し切なげに言った。

 
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