今宵、最後の一杯を…
翌朝、目覚めたとき、正樹への想いが強くなっていることを自覚した…。
「愛してる…。」と言って執拗なほど快楽と熱をそそぎ込まれた体は
心ごと絡めとられて…あなたの色に塗り変えられた…。
同じ熱が私の中に確実に生まれたから…。
左の足首に付けられたアンクレットを、目ざとく見つけてはずされ
「もう自由だ…俺は愛しても、女を縛る趣味はない…。」
その言葉を悦びだと感じる心は、新しい恋を手にいれた…。
止めたタバコに手を出すより…知らない男とのSEXより…
美味しい「ギムレット」を作れる素敵なマスターが一番やっかいなんだと…。
穏やかな寝息を立てる横顔を眺めていたら、うなじにホクロを見つけ嬉しくなる…。
そうやって小さな発見を積み重ねていこう…。
今もまだ、胸に残る疼く痛みを打ち消すように
その手を静かに握り締めた……。
…fin…